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自分と戦闘スタイルの被るパートナーと当たってしまった事に“もってねぇな、オレ”などと内心嘆いたが、クジの結果は変えられないし、時間も勿体無い。
それからは剣術の流派の話とか、実戦的な話を暫くしていた。……のだが、それが一段落すると。
「……」
「……」
会話が続かなくなった。これでは時間をドブに捨てているのと同じ。アクアは焦り始める。
(あぁもう、男なら何か喋れよこの朴念仁っ!)
こんな言葉を口に出すわけにもいかず、とにかく何か話題、まだ話し足りないことをあるはずだ――と、頭の中を大捜索する。
(そうだ!)
やっと、ある話題を閃いた。が。
「なぁよ」「あのー」
一陣の風が吹き、その場に非常に気まずい空気が満ちる。ベタすぎる。属性被り、武器被りに続いて三度目の被りだ。
(オレ達ゃお笑いコンビかっ!)
一喝したくもなったアクアだったが、せっかく閃いた事を忘れるほど間抜けに育ったつもりはなかった。どうにかこうにか、話を再開する。
「……何だよ?」
「いえ、先どうぞ」
「……敵、どんな奴来ると思う?」
「それです、僕が話そうと思ったのも」
濂青の表情が一瞬にして引き締まったのを見て、アクアも目つきを変えた。
「何か、見当付いてるのか?」
「もしかしたら、ですけどね……」
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