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凡人同士、お互い一人では決定的な仕事はできない力量。この局面を打開するには、少し工夫が必要かもしれない――。
思考を巡らせたアクアは、ここで一つ提案をしてみる。
「次さぁ……、『輪っか飛び込み作戦』やってみね?」
「なるほど、あれですね」
うん、とアクアは小さく頷き、剣の切っ先を正面に向けて刺突の体勢をとった。一方、濂青は一度刀を鞘に戻し、上半身を後ろ向きに捻って抜刀の姿勢。
今までと違う二人の様子に、サムライ達もやや距離をとっている。
暫く牽制するように距離を保った後、サムライ達がもう一度攻撃を仕掛けようと徐々に近付いてくる。
アクア達とサムライ達との距離が、十メートルをきった。
(レン、今だ!)
「月輪剣!」
濂青の抜刀とともに、環状の衝撃波が真っ直ぐに飛び出す。槍使いは受け流す構えをとった。
その隙に一気に駆け抜けたアクアは、衝撃波が槍に衝突する瞬間に合わせ、正面から突くと見せ掛けて相手の背後に回る。
「瞬耀!」
そして、反転して下段から斬り上げた。
模造のサーベルが確かに相手の鎧に触れた感触をもたらす。決定的な一撃は、実技試験では高ポイント。昨日の作戦会議で考えておいた連携が、功を奏した。遠距離を攻撃する「月輪剣」の輪と同時に、瞬発型の技「瞬耀」で飛び込むから「輪っか飛び込み作戦」……名前を推敲する時間もなかったので若干残念な名称になってしまったのだが、効果は覿面だった。
「そこまで! 制限時間です。受験生、通過とします」
試験官の一声。二人のサムライはぱっと動きを止め、丁寧に一礼した。アクアと濂青も咄嗟に会釈で応える。
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