第一章:登用試験

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 数秒後には何事もなかったかのように、静寂と木々のざわめきが戻ってきた。相変わらず、生温い風が吹き続けている。 「突破できたようですね」 「ああ。できればもう一人も討ちたかったけど。まだまだだな」  一戦ごとに協会が制限時間を設けているという話はあったが、それがどれくらいの時間なのかまでは分からない。 それに先程のように予定が狂ったりしては、時間まで気にしている余裕もなかった。 「でも連携は、悪くなかったと思いますよ」  と、あの無口な黄球人少年がそう言って刀を鞘に戻し、少し目尻を下げる。  一方、急に褒められたので、アクアは咄嗟に返す言葉が見つからず。 「そ、そうか? じゃ、じゃあ、次も頑張ろうぜ」  笑っているのかどうかも微妙な引き攣り顔でぎこちない返事をし、そそくさと細身の剣を鞘に収めた。それから靴の裏に付着した土を、近くにあった岩にごしごしと擦りつけて落とす。 「……さてと。んじゃ進むか」  靴の裏がきれいになった事を確認してから、アクアはパートナーと共に、林の奥へと進んでいった。
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