死の夜

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  窓を開けて夜風を明かりの無い暗い部屋に招く。 冬の凍るような冷たい風が私の頬を撫で外へと誘う。 私はベランダへ出た。 街の明かりが宝石のようにキラキラと輝いている。 「電気の無駄遣い。」 ポツリと呟き笑う。 ベランダの手すりに手をかける…………ここはマンションの七階。 父親は出張、母親と兄妹は夜の街に遊び出ている。 ………………今しかない。 このどうしようもなく、つまらない人生を終わらすの。 でも、そうね………。つまらないと言うより疲れたの。 生きる意味を探すことに――。 人は生きながら、その生きる意味を探しているとか言うけど、私のように疲れてしまう人も少なからずいるでしょう………。 生きているのか分からないくらいの生活が私には、たまらなく苦痛なのだ。
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