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この夜景、私が最後に眺めるにしては素敵すぎる。
そんなことを考えながら手すりに足をかける。
どうやって終わらせようかと考えた。
リストカットとか首を吊るとか睡眠薬を大量に飲むとか……だけど、どれもピンと来なくて………“ヒモ無しバンジー”と呼べる飛び降りというものにした。
いさぎいいと思うし、夜に溶け込める感じがするから。
なんていうのは後から付け足した格好つけるための理由…………。
ほんとは、死ぬ瞬間まで道具を使うのが面倒だっただけ。
この身一つでいいのよ。
十分よ。
私は手すりの上に立つ。
下なんて見ないわ。
だって私、落ちるんじゃなくて飛ぶんだもの。
この綺麗な夜景を眺めながら暗い空を舞うの。
――――――――――……
私は、この寒い冬の夜空に羽ばたいた。
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