彼女

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  …………しまった……。 受け止めてしまった。 俺は腕の中のそいつの顔を覗く。 そいつは閉じていた目をゆっくり開ける。 ……やっぱり…似てる……。 黒い瞳、薄い唇、白い肌。 違うのは髪の長さだけじゃないかと思うくらい……彼女に似てる。 あぁ……違う……。 腕の中のこいつは……人間だ。 「……え……?」 俺を見たその女は小さく声を漏らし、驚いた顔をしている。 ……なんだ……驚いた表情まで似てやがる。 俺は、その女に見とれた。 「…私…死んだの…?」 だけど、その女から発せられた声は……彼女とは違った…。 ………当たり前だ。 彼女じゃないんだから。
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