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確か彼女の声は、ガラスのように透き通っていた………。
優しく響くこの声は、彼女とは違う。
「……いや、死んでない。」
少し微笑んでいたそいつの表情は、俺の言葉で悲しそうに歪む。
………………似てる。
「……下ろして…ください。」
……下ろす…?
ここで?
受け止めたのは地上ではなく空中。
ここで下ろしても……この女は……怪我だけで済むかもしれない。
だけど……死ぬかもしれない。
………どうする…?
やっと見つけた彼女に似た女。
しかも、この女は処女だ。
はっきり言って、目の前で人間が死のうと俺には関係ない。
だけど…ずっと探していた女が目の前で死のうとしている。
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