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この女を探し出すまでに、俺は人間界でどれだけの時間を過ごしてきたのか、もう分からない。
……………長すぎた。
もう、待ちたくはない。
俺が黙ってその女に見とれていると、そいつはキョロキョロと辺りを見回した。
そして小さく震えだした。
今更ながら“死”というものを実感し、恐ろしくでもなったのか?
どうやら、その女は地上を見下ろしていたようだが、顔を上げ俺を見た。
まるで恐ろしいものでも見るように………………。
「…貴方……もしかして……幽霊…?」
………………………はい?
………幽霊………?
「……………。」
この女は、彼女以上に抜けているらしい。
いや、人間界で過ごしている者には、これが当然なのか?
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