エピローグ

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「危ない!」  少年は大女優の握手したてをぐっと引き寄せた。 「キャア!?」  バランスを崩した彼女が少年の胸にもたれかかる。  ダァン!  さっきまで彼女が立っていた場所に銃弾が射ち込まれた。  少年の行動と突然の射撃に茫然としていた彼女のSP達は忽ち色めきだった。  客達は事態を飲み込めていない者、あまりの事態に動けずにいる者、パニックを起こす者にわれ、ざわめきだした。 『東の空きビルの七階からの射撃です! すぐに向かってください!』  少年はそんなパニックの中、淡々とマニュアルに従い行動していく。  数十分後――。  犯人は逮捕された。  やはり熱狂的なストーカーだったらしく、彼女を殺して自分も死ぬなどと言っていたらしい。  まったく迷惑な輩だ。 「あの、ボーイは何者なの?」  俺に腕をガッチリ掴んだままのキャネルは興味津々のていでこちらを見ていた。 「あなたが警護を依頼した『フォルテ』の『ガーディアン』ですよ」  少年の言葉にSPや警察は驚きの色を隠せないようだ。  全員が、こんな子供が!? という顔をしている。  失礼な連中だ。  キャネルはと言うと――。 「あなたがガーディアン!? 若いのにすごいのね!」  お世辞抜きの賞賛の言葉をくれた。  おまけに、 「これは助けてくれたお・れ・い」  ンチュー! 「―――――!?!?」  胸を押しつけられ、たじろいだ瞬間、熱烈な接吻を受けた。  おまけに舌までいれられる。  ファン達にはショキングな映像が、生中継で全国放送されてしまった。 「フフッ♪ ナイト君へのお礼のキスよ。って!? 少年君!?」  初めてのキスの衝撃に麗信は気絶してしまった。
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