乙女の花園

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「はぁ……」 「ひぃ……」 「ふぅ~~~」  やばい、ため息だけで三段活用しちゃったよ。  まじで気が重い。  はじめる前から憂欝だ。  なにしろ同年代の女子しかいない学校での警護。  同年代の女子ってどう接すればいいんだ~~!?  麗信は職業の都合で中学校にも行っていない。  小学校にいかされた記憶はあるが、それも六年生だけだ。  当然、女の子に会う機会も少ないわけで……警護で女性のそばにつくこともあったけど。  しかもいきなりキスされたわけで……。  麗信の頭では女=痴女の方程式ができあがっていた。  まぁ、しかし仕事は仕事。  キッチリこなさないとな。  麗信は大きく深呼吸して正門の扉をあけ――られない!?  開かないし!?  いきなりつまってしまった。  どうしようか……。  その気になれば飛び越えられる高さだが、さすがによそう。  警報が鳴って警備員に捕まるとかしゃれにならない。  仕方ない――帰ろう!  まだクライアントにも会ってないし、違う人に変わってもらえばいいや~。 「あの~」  麗信が現実逃避していると、扉の向こうから白衣を着た教師らしき女性が声をかけてきた。  薄紅色の髪をしたパッチリとした睫毛に瑞々しい唇と高い鼻をした女性だ。  しかも、兄貴が俺の十歳の誕生日に寄越したエロ本に載っている人くらいみごとな体付きをしている。  相当な美人の分類に入るのだろう。  女性にあまり接していない俺でもそれくらいわかる……。  兄貴がくれたその本はその日のうちに焼却して灰にしてやった。 「へ?」  まずい、地声が。  あわてて声の高さをつり上げる。 「うちの制服ですけど、学生さんですよね。今は授業中のはずなんですけど……」  おっとりした雰囲気の女性は訝しげに麗信をみた。  うっ……なんか緊張する。  てか、女装だってバレるからじろじろ見ないで~! 「わ、わたし、今日からこの学園に編入することになったんですのよ」  女言葉を使っている自分が痛い。  泣きそうだ。  耐えろ、俺! 「そうなんですか~。じゃあ、理事長室まで案内して差し上げますね。編入生はみんなそうしないといけないんですよ」  なんか親切な人だな。  正門が開き、麗信は学園へと足を踏み入れた。
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