乙女の花園

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 部屋に入ると白髪と長い顎髭をした初老の男性が、こちらを観察するような目線で見ていた。  頼りないガーディアンと思われるわけにはいかない。  毅然とした態度で話さなければ。  麗信は気にすることなく、口を開いた。 「フォルテからのガーディアンで伊吹麗信です。警護中は天野麗信と偽名を使うことを御了承ください」 「私はこの聖華女学院の理事長を努めている山下楊枝といいます」  理事長はにこりと笑ってあいさつする。 「あなたがくるのを心待ちにしていましたよ。護衛するエルネ・アリシアさんは三年生のクラスになります。昼休みと放課後は生徒会室にいるだろうから、そちらで挨拶に伺うのがよかろう」 「はい! わかりました!」  幸運を祈ると言われた後、部屋を出た麗信。  エルネ・アリシアと言う名に聞き覚えがあったが、たぶんプロフィールにあった名前だから、頭に引っ掛かっただけだ、と軽く流した。 「じゃあ、あなたの教室に案内するわね」  美代子が先頭に歩き、麗信を教室に案内した。  三年生の教室にいくと、妙齢の女性が出てきた。  線の細い、赤みがかった黒髪の先生だ。  優しそうな顔つきの教師は、こちらをみてニッコリと微笑んだ。 「あなたが編入生の天野麗信さんね。私はこのクラスの担任の詩道美百合よ。よろしくね」  握手しながら自己紹介する美百合の手はとてもやわらかかった。  しかも、なんかスベスベしてるし……やっぱ女の肌は違うもんだー。  アホなことを考えていると、美百合は勝手に自己紹介をしていく。 「……というわけで、彼女が今日からうちのクラスに編入することになる天野麗信さんです。みなさん、仲良くしてくださいね」 「あ、天野麗信です。よ、よろしくおねがいしますっ」  クラスの女子の視線がこちらにそそがれ、カッと顔が赤くなった。  やばい、頭が沸騰するっ~! 「くすくす……上がっていらっしゃるのかしら」 「かわいらしいですわね」  クラスの女子のヒソヒソ声が聞こえてくる。 「それでは、天野さんはエルネさんの隣に座ってください」  美百合がさした先には赤みがかった桃色の髪を肩に流した美少女がいた。
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