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「広瀬くんは何食べる?」
俺の前で、俺に見せたことない笑顔で話す彼女。
俺の初恋の人――。
「僕は後でいいよ。…ああ、どうぞ?カス本さん」
この厭味なくらい爽やかに笑う男。
――広瀬。
彼女は明日コイツのものになる。
ぐぬぬぬぬぅぅ~~~っっ!!!
コイツめ!勝ち誇った顔で笑いやがって!!
誰のおかげで一緒にいれると思ってんだっ!!
あの時、俺がいなかったらアイツの隣に居るのはお前じゃなくて間違いなく俺だったんだぞ!!
…多分。
大体、片桐も片桐だ!
コイツの正体に全然気付いてねぇ!!
コイツが優しい爽やかクンなのはお前にだけなんだぞ!?
コイツはホントはホントは…!!
「もう!いつまで考えてんの?バカス本!」
か、片桐ぃ~…。
「ほら、先に譲った広瀬くんはもう決めちゃったよ!?」
「うるせぇな!お、俺にだって色々あるんだよ!!」
「まぁまぁ、僕はいいから、ね?……バカス本くんも色々考える事があるんだよ、…イロイロ、ね」
ぐぁぁあぁぁ~!!!
なんっだその目!
年下のクセに!!俺より三つも下のケツのアオいガキのクセにぃ~~!!
「カス本、顔ヘン」
「カス本くんがヘンな顔なのはいつもことだよ」
「そっかー、そうだね!広瀬くん!」
こ、コイツら二人…、もっと俺に感謝してもいいはずなのに…。
な、なんで俺あの時選択を誤ったんだ?
そうだよ、あの時――。
あの時、俺がコイツを助けなければ、この笑顔は俺のものだったかもしれないのに――。
「アレ?須本じゃん」
「…っ!」
こ、この声は…!!
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