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普段から円らな瞳を
さらに真ん丸にして
俺を見つめる悠さん。
さっきまでの冷たく鋭い
眼光とは打って変わって
何とも面白い顔。
見つめられたまま
寸刻の後、沈黙を破ったのは
「くっ…あははは!」
悠さんの笑い声。
「ふは…っ何の冗談?
変な夢でも見たの?碧志くん」
…まあ、そうなるわな。
どっからどう見ても
碧志の姿なのに、名波朔也だって
言って素直に信じる訳が無い。
俺でも同じ反応するよ。
うん、悠さん大正解。
だけどね、残念ながら
ファンタスティックで
ミステリー満載な事態は
紛れも無い事実なんだよ。
「悠さん…」
「やめてよ碧志くん
"悠さん"なんて名波の真似」
「マネとかじゃなくてね」
「寝ぼけちゃった?
あ、だから羽柴の名前叫んだの?」
「いやそれは」
「俺、一瞬で頭に
血が昇っちゃったよ」
「きーて、きいてよ」
「うん、聞いてるよ
名波になる夢、見ちゃったんでしょ?」
「ちげぇよバァカ!」
「うぉおっ!」
「俺が名波朔也なの!」
「碧志くん、」
「違う!碧志じゃねぇ!
碧志のナリしてるけど
碧志じゃねぇ!」
「ちょ、待っ、おおお落ち着いて」
「名波朔也なの!」
「あ、碧志くんとりあえず座ろう!」
「だからっ」
「丸見え!」
「え?」
「ま…丸見え…ですから」
「あ」
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