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「コトウ!」
声をかけられてコトウはハッとした。ぱちぱちとまばたく視界に映るのは、四角い部屋に並べられた机と椅子達、それから同じような服を着ている少年少女の群れ。
……どうして自分はここにいるのだろう。そんな簡単な事も分からない。まばたきを繰り返すが、状況は掴めない。
「どうした、寝てたのか?」
「あ……」
少年が翠色の目でこちらを覗きこんでくる。灰がかった淡い金髪はクセがあるのか、少し跳ねているところがあった。
「……君は……」
誰だ、と聞く前に思い出した。少年の名前はランド。コトウのクラスメイトで――恋人?
思考が乱れている。事実を事実として認識出来ていないようなズレを感じる。
「……大丈夫か? 疲れてるなら早く帰ろうぜ」
「――そう、だな」
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