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話を聞いても、コトウはいまいち納得出来ないでいた。聞けば思い出すし、ああそうだったと思うのだが、本当にそうだろうかと考えてしまうのだ。
帰り道への十数分話しただけでランドはいい奴だと分かる。特別美形なわけではないが、表情が明るいため魅力的に見える。
だからこそ、自分にこんな彼氏がいるとは思えないのだが。
「今日は早く寝ろよ? じゃ、また明日な!」
女子寮の前でランドと別れる。ぐしぐしと頭を撫でられ、眩しい笑顔を残してランドは男子寮へと向かった。その背中をぼうっと見送る。
何かが違う。けれどどこが違うのか明確に否定出来ない。
思考にかかる霧を払うように頭を振ってから、コトウは寮に入った。
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