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白。この世界を表すならそれだけで充分だろう。
白い世界。色がないわけではない。
青や黄色、緑に橙。探さなくても、色なんて無数に散らばっている。
ただ、空から降り注ぐひかりが、眩しいくらいに明るいのだ。
そしてこの光は太陽からの光ではない。
いくら空に目を向けても、この空に太陽はなかった。空であるところ自体が発光しているような、そんな光。
全てを包み込むような優しさを持ちながら、少しでも気を許せばすぐにでも心が飲み込まれてしまいそうな、不思議な輝きがこの地を照らす。
ここで生きている“モノ”はは『創成の地』と呼び、地を這う“ヒト”は『天国』と呼ぶ、この白い世界は極端に黒を嫌う。
そんな世界に生きる黒い天使の、
白の中に生み出された黒の話。
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