一話目 『異』

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大きな噴水がある公園を抜けた先にある洋風の館。 白濁色の石で作られたその館には、柱やドア、屋根にかけてまで繊細な彫刻がびっしりと施されている。 息を飲むような美しい芸術の塊。 前に立つだけで圧倒される。 三段程段差を上がり、ドアノブに手を掛ける。 ガチャリと音を立てて、重厚な扉が開かれた。 内装はとても洗礼されたものになっていて、外に見合う上品な美しさが溢れていた。 ここは人間の世界で言う学校のような場所。 毎日創成の地や人間界のことが、神に仕える神官によって教えられるのである。 ユダは二十歳前後の青年の姿ではあるが、この地に生を受けてまだ数年。 毎日きちんと通学して講義を受けている。
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