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今は無き大国の王都。絶壁に囲まれた街は正に要塞。そこに住まうはこの世界で最強の盗賊団と多くの難民。なぜなら、彼らが襲うのは王国のみ。難民を救い、王国の民を憎む。そのため王国に攻め入って得た食料などは難民にも分け与え、そして難民の中から志願して盗賊になる者おり、その数は日に日に増えている。
「お前は見てるだけでいいからな。手は出すなよ」
「えー、またかよ。おれだって強くなったんだぞ」
「まだ中級魔道士レベルだ。それに、今回の相手はオレより強いかもしれないんだよ。噂じゃ賢者クラスらしいしな」
街の外に聳える鉄の絶壁。その前にマントを纏う二人組が現れる。だが、片方は明らかにまだ子供だ。
「さて、どうやって街に入るかな。壊すのは面倒だし、やっぱ飛び越えるしかないか…。でも高いな。けど、おそらく標的は城だろ」
「考えないでいつもみたいに突っ込めばいいだろ。おれは見てるだけなんだし、早く終わらせて帰ろうぜ」
「…じゃあ、お前も戦うか?」
「え、マジ?」
一人が手を壁に合わせて、魔力を高める。
「ただし、雑魚限定な。強い連中はオレがやる。…やばくなったらすぐ隠れろよ」
「おれは何にも心配してないよ。それはあんたが一番よくわかってるだろ」
「まあそうだな。…行くぞ。『金属の創造主(アイアン・メーカー)』」
すると鉄の壁が形を歪め、溶けたように液状のようになり大きな穴をあけた。
「全ての金属は、オレの思うがままだ」
穴は絶壁を貫通し、トンネルを作る。そこを駆け抜け、街へと侵入。
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