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* * * * *
数時間後ー
部活が終わり、私と舞子は下駄箱に続く廊下を歩いていた。
「あれっ?あの人誰だろ」
舞子が指をさした所は職員室。
そこから出てきた人は、ここの制服と違う制服を着た男子だった。
「見かけない制服だねー。凛、知ってるー?」
「私も知らない。」
「じゃあ朝担任が話してた転校生かな?凄いかっこいい!ここから見てもわかる!」
「舞子…それ言ったら戸上が可哀想だよ。」
焦りながら「ゆっくんの方がかっこいいもん!将来の旦那様だもん」と頬を膨らました舞子をよそに、もう一度転校生らしき男子を見る。
少し暗めの茶髪に青くて細いフレームの眼鏡に整った顔立ち。
そういえば私達のクラスにくるんだっけ?
そう考えていた時。
ーあれ?
…今、目があったような…
しかも一瞬驚かれたような。
嫌だな私。
こんなの自意識過剰だ。
頬に手を当てて顔を赤くして彼氏との将来を妄想している舞子を現実に戻させて、その場を後にした。
そうだ。
今思わなくても、この高校に入ったのが間違いだったんだ。
そんな事、二年前の中学の時の自分は知らなくて当然だった。
そうすれば、彼とは合わずに済んだのかもしれないのに。
でも、ここに入らなかったら会えなかった。
高校二年の秋
人生で一番辛くてかなしくてもどかしくて
人生で一番楽しくて嬉しくて、忘れない日々が始まった。
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