プロローグ

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入ったと同時にコーヒーの匂いが鼻につく。 入部した時の部室の第一印象は[喫茶店] 正確に言えば喫茶店もどき。 部員が改造した机に、柄が綺麗なテーブルクロスを敷いてたり。 前の部長が自費で購入したカーテンや照明。 なんでもその部長さんはここを(部長さんだけの)快適なサボり場にしたかったとか。 飲み食い(お菓子持参)しながら相談を聞いてくれるときたから、そりゃ毎日人が来るったら来る。 「凛ちゃん!んふふ…柏木君の呼び出しどうだったー?告られた?告られちゃった?」 「ちょっと舞子…声でかい」 そして二回も言うなと、近ずいてきた舞子にチョップをくらわせて、数人の部員と相談者さんたちを尻目に、舞子の腕を引っ張って廊下に出た。 「あはは~…ごめんごめん」 茶色いふわふわの髪を揺らして苦笑いした宇ノ瀬舞子は、可愛くて学年でも人気者。 そんな舞子には当然彼氏がいて… 人目を気にしないでイチャイチャする、誰もが認める超絶バカップル。 そして中学生からの唯一の友人と呼べる人だった。 いつも笑わないで無愛想な私には絡みにくらしく、用がない限り話しかけてこないクラスメイトと違って、いつも話しかけてきてくれた。 今でもそれは変わらない。 この部活も舞子が誘ってくれた。
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