第一章

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掃除のバイトも終わり、佐々木と待ち合わせて帰路につく。大学から一時間程で着く、ちょっと高めのマンション。親は少々金持ちのようで、大学に進んだ際に買ってくれたらしい。ただし、帰り道は、かなり危険である。少し歩いているだけで 「兄ちゃん、ちょっと金貸してくんねぇかな?」 このようなチンピラ達が寄ってくるのである。 「帰れ」 「良いじゃねぇか。怪我したく無いだろ兄ちゃんよ~」 こういう輩は何を言っても無駄である。 「佐々木、やっちまうか?」 「相手からかかって来たから正当防衛だな、行き過ぎなければな」 「何をごちゃごちゃ言ってんだよ、早く金出せってんだろ糞ガキ!」 殴りかかってくる右の腕を左手で掴み右の肘で脇腹に肘うちをする。 「ぐっ・・・痛って・・・」 痛みで前屈みになった所に、一本背負いを食らわせた。背中を地面に打ち付けた奴は、気を失ったみたいだ。 「このやろう!やりやがったな!」 もう一人がナイフを持って突っ込んできた。まずはナイフを持った手を包み込み、外側に捻り、ナイフを弾く。上段に蹴りを放つが、下段によけ、軸足の内側を蹴り込む。 「痛って・・・」 軸とは逆の方向に倒れた奴は、そのまま逃げ去った。気絶していた奴も起きた様子で、加藤の姿を見た瞬間、直ぐに逃げて行った。
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