第一章

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先ほどのチンピラを倒した二人は、加藤の住んでいるマンションに向かった。部屋の中に入って、コーヒーを煎れた。焙煎されている豆の良い香りが部屋の中に立ち込める。 「お前は砂糖とミルクいれたよな?」 「ブラックは苦くて飲めんつ~の」 佐々木は苦いものが苦手らしい。お茶は飲めるが、抹茶になると、本当に飲めないらしい。 なら何故酒は飲めるんだという野暮な突っ込みは無しである。 「ほら和哉。感謝しろよ?」 「サンキュー。少し欲を言うなら、お酒が良かったな~」 「次の仕送りまで待て。もしくは、明日の給料を待て」 佐々木はかなりの飲んべえであり、大学の新人コンパでは、一人でビールをジョッキ五杯飲んで、大学新記録を作った経験があるらしい。 「それでな、オモイカネについてなんだが、西洋の伝承にも出てきてたんだ。お前、北欧神話のオーディンは知ってるよな?」 「当たり前だ。知らない奴は理数系か国文系かろくに勉強していない奴だ」 北欧神話は、歴史学科専攻者は、一度は目にした事があり、オーディンの他にも、トールが有名である。 「実はな、オーディンが使っていたグングニルという槍を渡したのは、和の国の知識の神なり・・・って書いてあった」
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