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「ようやく来たか。まぁかけたまえ」
「失礼します」
基地長、いわゆる本部長の初老の男がいた。
「君は、狩野光彦を知ってるか?あの極秘薬学部の部長だった男だよ」
極秘薬学部とは、国内で細菌兵器を使われた際に、その感染性を即座に解析するための部隊だ。いや、今はすでに廃部にされて、だったという表現の方が正しいだろう。
「彼がどうかしましたか?」
「彼がな、どこかの大学病院に在籍しているらしいのだが・・・どうやら少し不審な動きを見せているらしい。調べてくれんか?」
「了解です」
珍しく仕事の話だったためか、拍子抜けした顔で、基地長室を後にした。
諜報部の官舎に戻ると、坂上一尉が俺の顔を見て驚いていた。
「あれ?部長、愚痴を垂れ流されたんじゃ無かったんですか?」
「いや、仕事だった。今から出かける。後は頼むぞ」
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