黒月外伝～紅の軌跡～

深紅ノ女

ずっと昔には綺麗な摩天楼として有名だったであろう街はもうすでに廃墟とかし、あちこちで略奪や強姦がひしめいている。

「……」

ビルとビルの間に女が立っていた、ボロボロのマントのような物に身を包み整った顔だが、女の右目は眼帯によって隠されている。

「へへ……逃げんなよねぇーちゃん」

女性は10人程度の男達に囲まれていた。

「……」

女は男達を見据え黙っている。

「どうしたねぇーちゃん? 怖くて声も出ねえか?」

女は男達から目を離し上を見上げた。その時に男の１人が女を壁に激しく押し付けた。その時にフードのように被っていた部分が脱げ、血のような深紅の髪が月日を浴び淡く光を帯びたようにみえた。

「抵抗する力もないのかねぇーちゃん?」

男は下品な笑みと共に、女の体を触りだしたが、女は興味なさそうに空を見つめていた……だが

「……いい」

「あん?」

女は突然男達を見つめボソッと何かを呟いた。男は聞き取れず、下品な笑みのまま聞き返した。

「逃げた方がいい……」

男達が女のその言葉を聞いた瞬間に男達の首は空を舞った。