深紅ノ女

5/7
前へ
/7ページ
次へ
「……」 少しの間降った血の雨が止み、血溜まりになったのを少しの間女は冷ややかな目で見ていたが、ふと目を離し切り裂かれた上に血だらけになったマントを羽織ると路地から大通りへと歩き出た。 「……」 大通りに出ると白い光が歩いて居る人を照らして居るが、みなボロボロの服を纏い生気を感じない目をしている。 「……」 女は空を見上げるが月や星などは浮かんでいない、さらには大通りの街灯にも火は灯っていないしかし、それは女にとって別段驚く事ではなくすぐに大通りの道なりにある一対の白く輝くビルを見つめた……正確には片方は半分ほどしか出来ていないが、女はそのビルを見つめながら少し眩しそうに眼帯を付けていない左目を細めた。 (まだ半分……本当に完成す……) 「だぁ~れだ?」 女の思考は左目を隠された事によって止められたが、女は驚いた様子はない。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加