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「もう、じれったいんだよ!You、マジでケイちゃんに告白しちゃいなYo!」
ボロンは、カルシウムに突然そんなことを言われて最初はきょとんとしていたが、やがて事の事態を飲み込み赤面した。
「ななななな…!!何をたわけたこと言うかバカルシウム!!」
「あ、バカルシウム、ちょっとうまい。ボロンのくせに生意気だぞー!」
カルシウムはへらへらと笑った。
「大体あまり話したことのない男がいきなり好意を伝えても…気味悪がられるだけだろ…!」
ボロンは『あまり』と言ったが、ほぼ皆無に等しい。
「ていうか、ケイちゃんそういうの疎いからね。あんたの気持ち全く気付いてないだろーね。」
「そ…そうかやはり…。」
ボロンの周りにどんよりとした空気がのしかかる。
「やっぱりこういうのって協力者必要よね。
ケイちゃんと仲いい子で、さりげなーくそれとなーく伝えてくれる人。」
ボロンはそれに当て嵌まる人物を考えて、目の前の少女と目が合った。
「…カルシウム…」
誰とでも仲良くできるからケイとも仲が良い。
第一言い出したのは彼女だ。
「私はダメよ!それとなーく、って1番苦手な言葉なんだから!」
「ほう、自覚はあるのか。」
(…だからいつも先走って空回って失敗しちゃうんだよね。)
カルシウムはちらりと目の前の親友を見たが、彼は不思議そうに首を傾げている。
「仲良しといえば、リンちゃんはどうかなー?」
「…彼女は何故か俺の邪魔ばっかりしてくるのだ…」
普段可憐で穏やかなリンは、何故かボロンのことを嫌っており、彼とケイを近付けないように毎日威嚇しているのだった。
「ううむ…やはり自分でどうにかするしかないのだろうか…。」
…そもそも何故自分がケイに告白しなくてはならないんだ?と疑問に感じ始めた頃、カルシウムが手を叩いた。
「…あ!お兄さんは!?」
「む?俺は一人っ子だぞ!」
「誰があんたの兄って言ったのよ?ケイちゃんのお兄さんよ!!」
「シリコン氏には兄がいるのか?」
「うん!隣のクラスに、ゲルマニウムっていう人が。
今の時間なら部活やってるかもね!」
「部活?」
「うん。科学部。」
「…うぅむ…。」
ボロンは言いようのない不安に襲われたのだった。
二人は科学部部室前で『兄』を探した。人数は少ないので、困難なことでもない。
「ほう、彼がシリコン氏の兄上…ゲルマニウム氏か。」
「色白でちょっとそばかすな感じが可愛いよねー。」
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