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「おや、間違えてしまった。」
ハイド達のクラス1年A組の隣にあるB組。
昼休み、一人の青年がぽつりと呟いたのであった。
「何を間違えたんだい?」
向かいで彼の弁当箱を覗き込む、ひらひらの服を着た男はガリウム。
「僕の弁当箱ではなく、妹のを持ってきてしまいました。交換しないと。」
長い前髪の彼は、白い頬を赤らめ微笑んだ。
「ふぅん。何か違いがあるのかな。」
「シリコンのお弁当は唐揚げが一つ多くて、僕のお弁当は卵焼きが一つ多いんです。」
「何だ、それだけのこと?別にいいじゃない。」
ガリウムは両手を挙げ、肩を竦めて見せた。
「よくないです!ちょっと取り替えてきますね。」
「私も行く。君の妹を見てみたいからね…まぁ、君の双子の妹じゃあ期待はできないけど。」
「な、何を言いますか!シリコンは僕に似ずに可愛いんですよ!シリコンより可愛い子なんていませんから!!」
「ははは、兄馬鹿もいい所だね。君、シリコンちゃんに悪い虫が付いたらどうするんだい?」
「シリコンに、悪い虫…?」
ゆらり、振り向いては眼鏡をくいっと持ち上げた。
「…硫酸ぶっかけますよ…?」
返事をした彼からは、本気のオーラが漂っており、怖くなったガリウムは口をつぐんだままついていくことにした。
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