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「綺羅ちゃん?」
自分に嫌気が差して、はぁ、と大きく溜め息を吐いた時、後ろから声が掛かった。
振り返ると、結衣が「どうしたの?こんなところで」と近付いてきて微笑む。
結衣は普段から落ち着いてるし、見ていてすごく大人っぽいなぁと思う。一年の時はそうでもなかったけど、二年も経ってみれば何だかすっかり大人だ。それはまぁ、皆そうなんだけど。
皆変わってる、大人になってるのに、あたしだけ何も変わってないのかな――そう思うと、何かへこむ。
そんなあたしを見て結衣は、
「こんなところで話すのも何だし、屋上でも行こ? ご飯食べながら話そうよ」
と微笑んでくれる。気配りも上手。結衣はホントに女の子らしくて可愛いなぁ。あたしが男なら付き合って欲しいよ。
「ねぇ結衣、あたしと付き合おうよ」
「え、え……?」
冗談にも、少し顔を赤くして戸惑う結衣。素直だなぁ。
――
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