最後の文化祭 前編

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    「綺羅ちゃん?」   自分に嫌気が差して、はぁ、と大きく溜め息を吐いた時、後ろから声が掛かった。  振り返ると、結衣が「どうしたの?こんなところで」と近付いてきて微笑む。   結衣は普段から落ち着いてるし、見ていてすごく大人っぽいなぁと思う。一年の時はそうでもなかったけど、二年も経ってみれば何だかすっかり大人だ。それはまぁ、皆そうなんだけど。     皆変わってる、大人になってるのに、あたしだけ何も変わってないのかな――そう思うと、何かへこむ。  そんなあたしを見て結衣は、   「こんなところで話すのも何だし、屋上でも行こ? ご飯食べながら話そうよ」   と微笑んでくれる。気配りも上手。結衣はホントに女の子らしくて可愛いなぁ。あたしが男なら付き合って欲しいよ。     「ねぇ結衣、あたしと付き合おうよ」   「え、え……?」     冗談にも、少し顔を赤くして戸惑う結衣。素直だなぁ。   ――    
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