121人が本棚に入れています
本棚に追加
だいぶ経ってから、関が帰って来た。
一人ではない。
「おお、着流しか!!中々様になっとるやないか」
俺の姿を見て関が言う。
「動きニクイ」
「ガハハ!せやろな!慣れんもんにはしんどいな。ほれ、買ってきた奴渡したれ」
関が、もう一人を小突いて促した。
「いてーなぁ。親父はバカ力なんやからもっと加減せぇや」
紙袋を俺に差し出しながら、少年が言った。
「こいつはワシの倅のカイトや」
「セガレ?」
俺の疑問に少年が答える。
「息子。SUN。my name is KAITO」
なるほど。
「木場セイジです」
差し出された紙袋を受け取りながら名乗った。
「親父の言葉は真似せんでええで。生粋の関西人なまりやから」
「まぁ、そーゆーわけで日本語はこいつに教わってくれ。その紙袋の中には何着か服が入ってるから着替えて来い」
「ワカッタ」
とりあえず、この窮屈な服から解放されたかった。
最初のコメントを投稿しよう!