過去

3/16
前へ
/25ページ
次へ
 一緒にいると楽しくて、  もっと近づきたくて、  ずっと一緒にいたんだ。  3年生でクラスは離れたけど、やっぱり一緒に登下校もした。  夏休みも遊んだし、家族ぐるみで仲良くなって、初詣も一緒に行った。  高校も一緒だと思ってた。  けれど、真広は県外の高校に進学した。  『高校だけでも、県外に行ってみたい』と言う、真広の想いを尊重したのだ。  寂しかったけど、メールをたくさんしたから、寂しくなかった。  けれど、ある日を境に、要は自ら連絡をしなくなった。 『私、好きな人いたみたい』  夕食の途中に来た、真広からのメール。  真広に、好きな人ができた。  そう考えると、涙が溢れる。 「……おっせー…」  今さら、自分の気持ちは明かせない……。  心の奥底に、奥深くに無理やり閉じ込めた。 「……っ…う…」  家族に聞こえないように、部屋で声を押し殺して泣いた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加