過去

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 儚く終わった、儚い初恋──…     #  #  #  以来、要は今まで以上に、勉強も部活も頑張った。  下の中だった成績が中の上ほどにまであがり、なんとなく入ったバスケも、3年生最後の大会ではレギュラーに選ばれた。  思い切り走って、ボールを触っている間は、真広のことを忘れられた。  でも、運命なのかな。  もう一度、真広と同じ学校に通えるなんて。  合格発表で再会した要と真広。  真広は、3年間でものすごく大人っぽくなった。  ポニーテールだったふわふわの髪は、緩く結ばれ肩からおろされていた。  背も少し伸びて、漆黒のパンプスが細く長い脚によく映えた。  要を見て、綺麗に微笑んだ真広は、本当に綺麗だったんだ。 「要!」  固まったままの要に手を振って駆け寄る真広。 「ま……ひろ…」  無理やり閉じ込めていた想いが、倍になってばさばさと溢れてくる。  蓋なんて意味がない。  封印はいとも簡単に、本人によって解かれてしまった。
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