憧れは調査員

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 シンラの神機は『ロングブレード』、日本刀の様な形状の『氷刀』だ。装甲は『タワーシールド』、『シャウラ』。 『ボルグ・カムラン』と呼ばれる、サソリの様なアラガミの装備を使う。  関西分隊では一番の『近距離型神機使い』である。  ユータと同じ17歳で、日本人特有の黒髪黒目が顔を彩る。切れ長の瞳。引き締まった身体はフェンリルの『F制式装備』の上下に被われている。  助けに来てくれた、恩人。その人に対してユータは言う。 「遅ぇんだよっ!」  不遜極まりない。 「何ぃ!? てめぇ恩人に対して何を──」  完全に無視して、ユータは走り出した。助かった、などと思う暇はない。 「恐怖で逃亡か?」  シンラはそう考えたが、目の前の光景を見て考えを改めることになる。 「って、子供!? なんでこんな場所に……っ?」  調査員が走り出したのは、その子供のためとわかった。  シンラは一瞬の逡巡の後、言った。 「リングっ! お前は向こうの『ザイゴート』をやれっ!」 「ラージャ」  気の抜けた生返事だけがノロノロと返ってくる。  後方には『リング・エルフィン』、シンラの後輩が待機していた。
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