憧れは調査員

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「何やってんだよ、防衛班は?」  住民の待避を終えて、最終確認のために『対アラガミ防壁』付近に戻った三人の『第一調査隊』メンバー。その隊員の一人『榊真海〈サカキマウミ〉』は、アラガミの攻撃によってなのか、激しく揺れ動く『対アラガミ防壁』を見て悪態を吐く。 「今日は一斑の雨宮姉弟もいるんだから大丈夫だよ。信頼しな」  心なしか、その信頼に欠ける、震えた声で隊長が言う。  だがマウミは雨宮姉弟の名を聞いて、多少は心を落ち着かせたようだ。  それほどまでに雨宮姉弟の活躍は凄まじい。  更に最近入隊した神機使いは、若干12歳にしてゴッドイーターとなり、今も前線に立っている。いわゆる天才というやつだ。 「ツバキさんやリンドウさんは信頼できるけどさ、あのソーマってチビは気に食わないんだよね」  別の隊員が言う。それにはマウミも同感だった。  凄い人は許せても、天才は許せない。そんな感覚。 「ソーマの悪口になってんぞ」  隊長の忠告。 「ソーマだってあれくらいの子供なんだから」  何を言っているのかわかっていない隊員達の怪訝な表情。 「隊長。あれくらいって?」  マウミが聞く。 「そこにいる子供だよ」  隊長が指をさし、その時にやっと、ことの重大さに気づいた様子で、指先が震え出す。その先には、たしかに『ソーマくらいの子供』がいた。
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