憧れは調査員

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 左ホルスターから拳銃を抜き、すかさず発砲。  人の声より響く銃声。だが、それが届く前に弾丸が『サリエル』を捉える。 「食いっ、込めっ!!」  弾丸は『サリエル』の外皮に弾かれる。 「くそっ」  弾丸自体にアラガミを倒す力はない。むしろ、手当たり次第に捕食するアラガミにとっては、餌を与えられている様なものだ。  にもかかわらず銃を撃った理由は単に『サリエル』に、こちらを意識させるためだけではない。むしろ捕食させることに意味があった。  弾丸の中には『偏食因子』が組み込まれているのである。撃ち込まれたアラガミは『偏食因子』の作用により、人に対して偏食を引き起こす。  アラガミを狩るために、『オラクルバレット』を撃つ『遠距離型の旧型神機』ではできない芸当と言えよう。  しかし、実用段階には至っていない。元来『偏食因子』はゴッドイーターに打つものである上に、特定の神機に対して専用的に作り出す『偏食因子』は、『同じ種類のアラガミ』という大きな括りで作り出せば効果が薄れてしまうのだ。  効果は最大でも5分に満たない。『サリエル』などの大型の個体ではなおさらで、平均的に1分弱とされている。
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