①ケモノを愛す者。    

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  そんな書き方をしたら、あたかも彼が何か悲しい過去によって人間を排他する性格になり、誰も信じずに孤独に生き、1人暮らしのアパートにインコでも飼う人間かのように聞こえてしまうかも知れないが、そんなことは決してないので安心していい。 僕が語りたかったのは単に彼がどんな相手に一際性的興奮を抱くか、いわゆるどんな娘がタイプか、といった話である。 人を愛さないということの詰まりは、彼がその性欲を向ける対象は決して人間などではない、というだけのことだったりする。 ではいったい何に恋をし、何の為に貴重な時間を奔放させて生きるというのか。 彼は間違うことなきケモナーであった。  
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