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この世には魔法使いと呼ばれる存在がいる。
魔法使いは常人では成し得ない術を会得した者の事を呼び……
術の中には治癒術やら火炎術やら心術やらと数え切れない程の術種があるらしい。
正直言ってよくはわからないのだが……魔女はそう言っていた。
そしてその魔法使いとやらは、普段は正体がわからぬよう隠して生活していると言うのだ。
なぜー…
魔法使いはその常人を超えた存在である事。
物理法則の無視。
その驚異性から【世界の有害な存在】として扱われている事。
どこかの物理学者がテレビ番組でそう言ってた。
だけど、その時は魔法使いがこの世に存在しない前提の話しだったので、気にも留めていなかったけど…
話によると、彼らの存在により物理法則が乱れ、世界の歪みを生み出すー…
その歪みはやがて不安定な存在となりいづれは世界を飲み込むのだと学者は言っていた。
だからこの世界には魔法使いは存在してはダメなのだと。
だから魔女狩りやハンターが昔から、風習や伝統として世界に残っているのだろう。
警察も軍隊さんも魔法使いを世界の有害な存在として厳しく取り締まっているし、もちろん魔法使いが捕まるようなら極刑が最低条件なんだそうだ。
この世界に魔法使いは有害な存在そのものになっていると魔女も言っていた。
「魔法は確かに有害な存在だよ。
物理法則を無視するし、世界に歪みをもたらすだろうさ…
…だけど、その歪みは世界を飲み込みゃしないさ。
歪みは一時的な副作用で時間と共に修正されるー…
学者は魔法と言う理解出来ない事をただ恐れてるだけさ。
ー…本当に私が恐れているのはね……
魔法を手にした者の精神さ…………
」
魔女はあっさりと物理学者の理論を否定したかと思うと、術を使用する魔法使いの精神に有害だと言った。
魔法を手にする事は絶対的な力を意味する。
そしてその力を手にする事こそが術者の精神に有害な存在だと言う。
坂嶺隆士…
それが俺の名前だ…
俺が魔法使いである事を魔女に言われるまでは平凡に暮らしていた高校生だ…
そうー…
つい最近までは魔法使いが存在する事さえ信じられなかったし、魔法を使って見せた魔女もまだ信じられなれない。
ましてや魔法使いであると言われた俺自身が一番信じられない事なのだから……。
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