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重い足取りで、教室に戻った。 あ~戻りにくいし。 教室入るの嫌だなあ。 「中川さん?」 後ろから、呼び止められた。 「あ、絵美ちゃん」 「お昼ご飯の時、急にいなくなるから。気になって。次の授業もいないし。 大丈夫?」 「う、うん。ごめんね」 「香代ちゃんと、しほちゃんも心配していたよ?」 絵美ちゃん、次体育なのに残ってくれたの…かな? 「ごめんね。 あ、お弁当…そのままで」 「あ、私片付けておいたよ」 「ありがとう。」 そうだ。素直に私の気持ち言わなきゃ。 しかも、絵美ちゃんだけだし、言いやすいかも。 「あ、のね。」 私は、ポケットにある成瀬くんの、ハンカチを握りしめながら…。 「私も、カラオケ行きたい。さっき言いたかったの」 「うん。行こう。皆のが楽しいしね」 「さっき、言えなくて…」 「言いたかったのに…。」 目に涙が、にじんできた。こんな、普通の会話が私には、こんなに勇気のいることなのか?! 「ふふ。中川さん、大丈夫だよっ。 今度から、きちんと言えるまで私達も待つね」 「あ、りがと」 ずっ。鼻水が出そうになり、慌てて成瀬くんのハンカチを手にしていた。 成瀬くんが、勇気を分けてくれたみたい。
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