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「ご旅行かしら?」
「はい。一人で温泉旅行です。」
「いいわねぇ。推理小説はお好きなの?」
老婦人の質問で美幸は手にしていた文庫本を見る。
「これですか?そうですね、いつも気付くと推理小説買っちゃってて。」
美幸が頭を掻く。
これは事実だ。
好き…という程の自覚はないのだが、多分好きなのだろう。
「仕事柄なのかもしれません。警察署勤務なんです。あ、でも交通課なんですけどね。」
「あら、そうなの。」
老婦人は少し驚いたような表情を見せた。
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