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 地上に送られた彼女は、"かぐや姫"という名を貰いなさりました。そしてかぐや姫は極力男性とお会いになるのを避けなさいましたが、そうは言ってもやはり、彼女の美しさはたちまち評判となってしまわれました。大勢の男性からの求婚はなんとかお流しなさることが出来ましたが、しかしついには、帝までもが彼女の虜となってしまわれたのです。さすがの姫も、帝を頭ごなしに避け申し上げなさいますのは無礼にあたり、また、大切な翁と媼がただでは済まされないだろうとお思いになり、お側に控え申し上げなさって、なかなか離れ申し上げなさることができずにいらっしゃいました。しかしそうして寵愛を受けなさっているうちに、彼女の心は段々と、帝に近づいておられました。  彼女はそのような自分の気持ちにお気付きになり、大変恐れなさいました。そして天上に帰る日が近いことを知りなさって、帝のご無事を安堵なさったものの、帝から、そして親しき者達との別れを、嘆きなさりました。
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