非常階段の上、いちごミルク。

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風が頬に当たって、涙の跡がスースーした。 ここは何故かいつも風が強い。 「ほら、これ」 差し出された紙パックはひんやり冷たくて、それを目に当てる。 「どうしたんだよ?」 どうしたも、こうしたも、ない。 誰のせいだと思ってんの。 「話したくないのかよ?」 話せないんだってば! ねぇ、さっき、あの子と二人でどこいってたの? 付き合ってるってほんと? 私のこと、どう思ってんの? 色んな言葉を、ストローを通る甘いジュースで飲み込んだ。 優しくしないで。 そんなこと、 言えない。 言えるはずない。 今はただ、このまま。 もう少しだけこのままで。
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