第三席 日常

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                1人の青年がラーメン屋の前で顎に手をあて深刻な表情をしていました。 しばらくの間そうしていたかと思うと、突然パッと顔をあげて笑顔で店の前から走り去って行きました。 「ひぃーばぁーりぃーっ!!」 先程の青年がそう叫びながら、アパートの扉を勢いよく開きました。 その扉の向うには山盛りになったドーナツを食べながらテレビを見ている青年がいました。 その青年の名はさっき呼ばれていた通り“飛翔李”である。 飛翔李は、ドーナツを食べていた手と口を休めテレビに向いていた顔を、玄関でいそいそと靴を脱いでいる青年に向けた。 「そんなに急いで、どうしたんだよ龍?」 龍と呼ばれた青年はなにも言わず、凄い勢いで飛翔李に迫った。 「今日は、何を見つけて来たの?」 「ラーメンっ!!」 「そう、このドーナツを食べて終わってからでもいい?」 「おうっ!!」 龍は満面の笑みで飛翔李から離れ、テーブルを挟んで向かい合うように座った。
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