第三席 日常

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               龍はもくもくとドーナツを食べる飛翔李を見つめている。 それが気になった飛翔李は、食べるのを止めて龍に問うた。 「なに、どうしたの?」 「飛翔李さ、そんなに食うのになんで太らねぇの?」 飛翔李は、少し驚いた様に龍を見てから、困った様な顔をしながら龍の質問に答えた。 「うーん、それは、多分、俺達、七つの大罪を作り出した神のせいだと思うよ?」 「・・・分かんねぇ、もっと分かりやすく説明してくれよ」 飛翔李はさらに困った様な顔をして、答えた。 「たとえば、俺は“暴食”だから一生尽きることのない食欲を持っている、でも、その欲にまかせて食べ続ければ、その内に胃が堪えきれなくなって破裂してしまう、だから、神は・・・俺が物を食べていたという事実をなくしてしまってるんだよ」 「ふーん」 「龍だって“強欲”龍自身が手に入れたいと思うものを手に入れるためにどうするか、それを考えるための知能があるだろ?」 飛翔李が説明してみたものの龍はあまり理解していないようだった。 それを見た飛翔李は呆れたようにドーナツを食べはじめて、龍が話しかけても返事をしなかった。 そんな時間が一時間程続き、飛翔李はその間ひたすらドーナツを食べていた。
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