第一席 尽きることのないもの

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薄暗い部屋の中に、真っ白なシーツにくるまりゴロゴロとだらしなく寝ている男がいる。 彼が最後に自分の足で立って歩いたのは約1週間程前だ。  今の彼がやることと言ったら、瞬きと寝返りくらいだろう。 そんな生活を送る彼の所へは、週に4回程、同じ人物がやって来る。 その人物は、紫の瞳に漆黒の髪をもつ色欲の“治佳”である。 今も丁度、治佳がインターホンを押さず、さも当たり前の様に入って来た所だった。
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