沈む月

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その時 「許しませんわ」 低くけれどもとても響く声が聞こえた。 そして、ソレイユが扉を開けて部屋に入って来たのだった。 怒りで顔を真っ赤に染めたソレイユはゆっくりルーナに近づくといきなり容赦なくルーナの顔に手を振りおろしたのだった。 すごい音が鳴り、ルーナは叩かれた勢いでその場に倒れた。 「ルーナさん!!」 スカイは慌ててルーナを助け起こした。 「許しませんわルーナ。スカイ様をたぶらかすなんて。あなただけは私の味方だと思っていたのに」 ソレイユはルーナを本当に汚らわしそうに見下ろし、怒りで震える声でそう言ったのだった。 「何を言っているのです?私はルーナさんを一目見たときに月の女神が舞い降りて来たのだと思ったのです。そして、ソレイユ様のためを想い一生懸命お仕えしている姿を見てさらに心惹かれたのです。ですからルーナさんは何もしておりません。いえ、むしろソレイユ様と結婚するように私を説得していたのですよ!!」 スカイは意味が分からないという様な顔をしながらも必死に訴えた。 だが、ソレイユはその言葉にますます怒りに奮えた。 「衛兵たちよ、即刻ルーナを捕らえて牢に入れなさい!!」 ソレイユは部屋から出てそう叫ぶと去って行った。 そして次々に衛兵たちが集まって来た。 「待ちなさい、衛兵たち。ルーナさんは何も悪いことはしていない!」 「申し訳ございません、女王の命令は絶対なのです」 衛兵たちは辛く悲しそうな顔でそう言って、ルーナを捕らえようとする。
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