プロローグ

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 母さんはとても美人で、父さんも欧米人ならではの美形。妹のセナも人形のような可愛さだと自慢したくなるが、同族だからこそ分かる、自慢しようにもちょっと気をつけなければいけないなと思う。根はとても良い人たちだけどね。 「そうだ。ねえお母さん、利央兄ったもさい黒いヅラ持っていくんだよ」  部屋から戻ってきた母さんにセナが思い出したように告げ口する。 「あら、折角きれいな白金なのに」 「絶対モテるよ」 「なんで、僕が、好かれなきゃなんないの」  それじゃ王道傍観とか絶対できないじゃないか! 確かに僕の髪色は父譲りで色素が薄い。それはとても自慢に思っているけど、それじゃ目的の傍観者が難しくなるんじゃと不安しかない。  巻き込まれるという前提になって自意識過剰だと思われるだろうけど、謙虚でいるほど悪い見た目じゃないと思ってるんでね。寧ろ、両親と妹が美男美女なのに、僕だけ普通とかやだよ。 「利央なら大丈夫。黒髪でも私とリュカさんの子だもの」 「はいはいありがとうございます」  見た目だけでも目立ってしまうから、平和に過ごすためにも学園では王道転校生のように変装していくつもりだ。もちろん、もさいマリモ頭と瓶底眼鏡なんて格好まではしない。普通の黒髪ウィッグと茶色のカラコンを着けるくらい。  あからさまな格好は、余計目立つからね。漫画や小説を読んでても思うけど、なんで悪目立ちする変装を選ぶんだろうね、王道転校生は。頭悪そう。それが王道だから仕方ないけど。多分これ口に出したら怒られそうだな……。王道好きだよ。
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