98人が本棚に入れています
本棚に追加
珈琲を入れ、食事の用意をしてから再度、部屋に向かう最中に、青年と出くわした。
「おい、まだ休んどけよ、顔色も悪いし…」
「いえ、仕事があるんですよ。お客さんを待たせるわけにはいかないので…」
「お前、自営業でもしてんのか?」
「ええ」
青年は、笑みを浮かべながら、そう返す。
足取りは、しっかりしているが、顔色は悪い……また倒れないか心配になってきたシエザは、青年を送ると申し出たが、彼は、丁重に断り、シエザの店を後にした。
変わった子供だというのが、彼への素直な感想だった。
「……まだ若いのに大変だな。飯多く作っちまったんだがなぁ」
シエザは、頭を掻きながら、部屋に戻っていった。
夕食を取った後、日課になっている夜の散歩に出た。
街灯と月明かりが、夜の街を照らす……こうして見ていると、昼間の賑やかな街と違って見える……そんな雰囲気が好きで、散歩に出ているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!