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「今日は、月がやけに綺麗だな…」
夜空に浮かぶ満月を歩きながら見上げ、シエザは目を細めた。
「爺さんが月を見ながら酒を飲んでたな~」
亡くなった祖父が、月見が好きだったのを思い出しかけた時、悲鳴が聞こえた。
「!?」
悲鳴が聞こえた方を見ると、子供が走ってくるのが見える……まだ幼く、ブカブカの衣服を纏っている。
「どうした?」
「お兄さん、助けて!!」
少年は、涙を流しながら、シエザに抱きついた。
小さな身体は、恐怖からか、震えている。
シエザは、少年の頭を優しく撫で、ゆっくりとした口調で尋ねた。
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