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「どうしたんだ?怖い人を見たのか?チンピラに絡まれたのか?」
「……例の通り魔が、ボクたちを……友達が、」
震える声で、途切れ途切れに、状況を説明する。
ふと、背後で足音が聞こえる……シエザは、振り返り、そちらを見た……真っ暗な闇が広がる中に足音のみが響く……その暗闇にぽっかりと白い顔が浮かんだ。
金髪にソバカスが目立つ少年だ。シエザにしがみついていた少年が目を見開く。
「ジルくん!無事だったんだね」
少年は、嬉しそうに友人に近寄ろうとするが、シエザは、嫌な予感がした。
ふと、ジルがゆっくりと倒れる……倒れたジルの背中には、ナイフが深々と刺さっており、様子や出血量から死んでいると思われた。
「!?」
「うわああああ!ジルくん」
ジルが倒れた場所から、人が現れた……恐ろしい表情をした全身血塗れな中年男性が佇んでいた。 シエザは、とっさに少年を庇う体勢をとる。
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