第一話 「首狩り」

12/18
前へ
/185ページ
次へ
「どうしたんだ?怖い人を見たのか?チンピラに絡まれたのか?」 「……例の通り魔が、ボクたちを……友達が、」 震える声で、途切れ途切れに、状況を説明する。 ふと、背後で足音が聞こえる……シエザは、振り返り、そちらを見た……真っ暗な闇が広がる中に足音のみが響く……その暗闇にぽっかりと白い顔が浮かんだ。 金髪にソバカスが目立つ少年だ。シエザにしがみついていた少年が目を見開く。 「ジルくん!無事だったんだね」 少年は、嬉しそうに友人に近寄ろうとするが、シエザは、嫌な予感がした。 ふと、ジルがゆっくりと倒れる……倒れたジルの背中には、ナイフが深々と刺さっており、様子や出血量から死んでいると思われた。 「!?」 「うわああああ!ジルくん」 ジルが倒れた場所から、人が現れた……恐ろしい表情をした全身血塗れな中年男性が佇んでいた。 シエザは、とっさに少年を庇う体勢をとる。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加