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「昼間は雑貨屋、夜は酒屋……忙しいみたいだが、たまには息抜きしろよ?酒ぐらい付き合うからよぉ~気軽に誘ってくれよ」
常連客の髭面の男性は、暖かい眼差しを向けながら、ビールのジョッキを持ち上げた。
ウィンナーにがっついていた小太りの男性も、頷いた。
「有難う。二人供」
シエザは、笑顔で礼を述べた。離れたテーブル席で、注文を叫ぶ客が手を振っているのを見て、カウンターから離れた。
「はい、ウィスキーにビール追加と…」
「サンキュー!」
1人で慌ただしく酒屋を切り盛りし、シエザの夜は過ぎてゆくのだ。
「なぁ、また猟奇事件だってよ」
さっきお代わりを持って行った二人組の労働者が奇妙な会話をし出した。
気になったシエザは、耳を傾ける。
(新聞で騒いでるヤツだな、スラム街でも被害が出始めたみたいだな。物騒な世の中だぜ)
「何でも、ガキばっか狙った殺しみたいじゃねーか。全く……胸くそ悪いぜ。うちのチビ共がビビって外で遊ばねーし、お使いにも出せない」
痩せた男性が言う……傍らにいた、メガネの中年が、口を開いた。
「不安なら〝首狩り〟に頼めよ」
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