第一話 「首狩り」

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トムは、シエザの腕を掴み、引き寄せると、彼の耳元で囁く。 「首狩りは、ヤバい。関わんな!」 「は?何だ?そりゃ」 ヤバいとか言われても、何も知らないシエザには、ピンと来ない。 マイクが、続けて口を開く。 「噂じゃ、マフィアとかよりヤバいって聞く!つか、ある意味……いや、首狩りは忘れろ」 マイクとトムは、必死の形相でシエザに詰め寄った。あまりの必死さに、シエザは、申し訳ない気がしてきた。 いつも、陽気で食いしん坊でのんびりな友人たちが、血相を変えるぐらいなのだ、あまりいい噂じゃないと判断する。 「悪い……」 「平凡が一番って……爺さんの口癖だろ?首狩りなんざ、平凡に生きてたら、無縁なんだ。関わらずに、生きるのが賢い人間だ」 そう言い、トムは、ビールを飲み干すと、落ち込むシエザの肩を叩いた。 シエザは、黙って、仕事に専念をする。 それっきり、首狩りについては、記憶から追い出したのだった。
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