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トムは、シエザの腕を掴み、引き寄せると、彼の耳元で囁く。
「首狩りは、ヤバい。関わんな!」
「は?何だ?そりゃ」
ヤバいとか言われても、何も知らないシエザには、ピンと来ない。
マイクが、続けて口を開く。
「噂じゃ、マフィアとかよりヤバいって聞く!つか、ある意味……いや、首狩りは忘れろ」
マイクとトムは、必死の形相でシエザに詰め寄った。あまりの必死さに、シエザは、申し訳ない気がしてきた。
いつも、陽気で食いしん坊でのんびりな友人たちが、血相を変えるぐらいなのだ、あまりいい噂じゃないと判断する。
「悪い……」
「平凡が一番って……爺さんの口癖だろ?首狩りなんざ、平凡に生きてたら、無縁なんだ。関わらずに、生きるのが賢い人間だ」
そう言い、トムは、ビールを飲み干すと、落ち込むシエザの肩を叩いた。
シエザは、黙って、仕事に専念をする。
それっきり、首狩りについては、記憶から追い出したのだった。
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